2009年5月6日水曜日

より高額の年金をもとめる思索

日本では年金制度が破綻していると言われてから、かなりの時間がたっています。

先日イギリスに住んでいたことがある人と話をしていたところ、イギリスでは年金制度が合理的にできていて、日本の国民年金のような低額ではなく、誰もがある程度生活ができるというのです。
しかし、その代わりに、アルバイト労働者でも給料から3割くらい天引きされるそうです。(所得税を含む)。それでも老後のことを考えると、よいと思うとその人は言っていました。
それで、イギリスの年金制度を調べてみたのです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/pdf/shogaikoku-england.pdf

イギリスの労働者の年金徴収額は、一律で所得額の11%となっています。
(事業主は12.8%)
これは16歳以上で、所得額が週82ポンド(16240円:月額約64960円)以上の者は強制加入です。
これによって、年金支給金額がどのようになるのかを算定してみました。

年金の支給開始年齢は男性が65歳、女性が60歳。(女性に関しては65歳に引き上げが予定)

(無業の者は任意加入で、税額は定額で週7.35ポンド:約1455円。支給額は
   年金 64984円 月×12 か月 =779808円 1年)

【ここで言う「月収」とは、日本では支給額に所得税(1割)と健康保険額、厚生年金額(約15%位)を加えたものです。】

●月収10万円
   週 2万5千円 126.26ポンド 
   年間 120万円 6060,6ポンド
   年金 64984円 月×12ヶ月 + 958320円(4840ポンド) = 1738128円 (年間)
   ★14万4844円(月平均)
   (月収20万円以下の人は同額の年金支給額)

●月収20万円
   週 5万円 252.525ポンド
   年 240万円  12121.21ポンド
   年金 (同上)(月収20万円以下の人は同額の年金支給額)

●月収30万円
   週 7万5千円 378.79ポンド
   年 360万円 18181.82ポンド
   年金 64984円 月×12 ヶ月 + 958320円(4840ポンド) 
   +1204200円(6081.28ポンド)
   = 2942328円 (年間)
   ★24万5194円(月平均)

●月収40万円
   週 10万円 505.05ポンド
   年 480万円 24242.42ポンド
   年金 64984円 月×12 + 958320円(4840ポンド) +4560419円(23032.42ポンド)
   = 6298547円 (年間)
   ★52万4878円(月平均)

●月収50万円
   週 12万5千円 631.31ポンド
   年 600万円 30303.03ポンド
   年金 64984円 月×12 + 958320円(4840ポンド) +5498856円(27772ポンド) 
   + 501144円(2531.03ポンド)= 7738128円 (年間)
   ★64万4844円(月平均)

●月収60万円
   週 15万円 757.58ポンド
   年 720万円 36363.63ポンド
   年金 64984円 月×12 + 958320円(4840ポンド) +5498856円(27772ポンド)
   + 1701143円(8591.63ポンド)= 8938127円 (年間)
   ★74万4844円(月平均)

こうしてみると、所得額に比例した年金が支給されるようになっていて、わりと合理的です。
この制度が破綻していないのなら、日本でも似た制度を取り入れて、うまく年金を支給できるのではないかと思うのです。

今の日本の厚生年金は、現時点で所得の15.36%(本人は2017年には9.15%負担になる)です。
本人分以外の6.21%を事業主が負担するといっても、結局は支給される給料にかぶせてあるだけのことで、支給額から減額されているのと同じです。

イギリスとの違いは、厚生年金に加入している人だけが得られる年金であるわけです。
この厚生年金は、アルバイト労働者などには付加されないかわりに、すずめの涙程度の国民年金が支給されるだけです。イギリスは、近年日本でも増えているアルバイト労働者たちにも、上記のような比較的十分な年金が支給されていることになります。それにより広い範囲の人たちが潤う点で恩恵が絶大だと思います。

日本も憲法に定められた平等と【憲法第25条の一項:すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する】という条文を満たすためにも、もっとよい税制を模索するべきではないかと思われます。

さらに付加するとすれば、古代の税制に租庸調がありました。税金としては、年貢米と労役、それに物品(布などの反物)です。現代にたとえれば、税金と労役、それに金銀や宝石、土地などがこれに該当するかもしれません。
このなかで重要なのは労役で、具体的には高齢者福祉の看護士とか、ホームヘルパー、その他、老人たちへのボランティアーとして働いている人たちの労役がこれで充足できる期待があります(土日のお休みの日が多いかもしれませんが)。また、町中の掃除とか、道路や公園に植えられている木々や花壇の手入れなど、わりとこまかな作業があります。山間地などは道路の補修とか砂防ダムの建設、雪かき作業など多くの仕事があるはずです。
これで労働力提供志願者が余るようだと、農作業への参加なども考えられます。これは地域の特色に応じて行われるのがよいと考えます。

今後はこのようないろいろな模索をして行き、最大多数の幸福を追求してゆくべきではないかと愚考する次第です。

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第二十五条【生存権、国の生存権保障義務】
1  すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2  国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
(日本国憲法:参照)
http://constitution.at.infoseek.co.jp/kokumin.htm

植木淳一

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