2011年1月17日月曜日

財政再建など・色々

前の記事にもありましたが、経済的な問題は、いつの世にも重要な事のようです。

古代の日本には、債務の破棄を意味する「徳政令(とくせいれい)」がありました。

鎌倉時代には、御家人(ごけにん)と呼ばれる侍達の生活が困窮したため、鎌倉幕府は「徳政令」を出し、侍達への債務を破棄させました。そして、彼らの借金が棒引きされ、質入した物品が手元に戻りました。また寺社が売却した所領も元に戻ったのです。これではお金を貸す側が黙っては居ません。この後、御家人達に金を貸す業者が居なくなり、彼らは逆に困ったそうです。

ところで、室町時代には足利幕府が18回も「徳政令」を出したそうです。こちらは農民などの大衆が起こした一揆による債務の破棄要求があり、それに応じたもののようです。しかし、結果として幕府の財源は激減したといいます。江戸時代にも享保の改革で「借金相対済まし令」が公布され、債務の破棄が行われて幕臣達の困窮が助けられました。

もし現代にこれを行えば、**兆円の借金地獄の日本政府も万歳でしょうけれど、やはり大衆からの信用を失い、以後は国債の発行ができなくなるかもしれません。

古代ユダヤにも、こうした債務の破棄を行う習慣があったと、ある本で読んだ記憶があります。それは確か7×7=49年が終わる50年目の年であったと記憶しています。この年には全ての借金や質入した物の債務が破棄され、奴隷は解放されました。

彼らにとって、全ての物は神から借り受けたものだから、人間が一生の間、特定の人を債務で縛るというのは許し難い行いだったのかもしれません。むしろ神の愛を表した習慣であった可能性があります。

また、ユダヤには「シャバット」という、一週間のうち1日をお休みにする習慣がありました。それは神が天地を創造した神話に由来します。つまり、神は六日間の創造の業を行った後、七日目に休んだのです。これは日曜日の起源となりました。また、シャバットの年といって6年耕作した土地を7年目に休耕して休ませたのです。

こうしてみると、古代の風習も意外と一理あると言えなくもないのです。

江戸時代の財政再建の代表例は、上杉家の米沢藩でしょう。

彼らは豊臣秀吉の時代に越後から会津120万石へ移動させられましたが、徳川家康に味方しなかったため、江戸時代に米沢30万石へと移封させられ、最後には15万石に減封されました。このように石高は落ちるが家臣団の多くはそのまま付いて来たのです。しかし、上杉家は家臣を一人も解き放ちしなかったため藩の財政は困窮を極めたようです。このため、武士達は鋤や鍬を持って田畑を耕し自分の食いブチを確保したようです。

米沢藩は上杉鷹山の時代に財政再建を行い、各種の産業を勃興させて、ついに借金財政を黒字財政に転じるという奇跡を演じて幕府に誉められたのです。このとき、鷹山と重臣達はいくつかの産業を開拓しそれを発展させ、それにより藩の財政収入を増やしました。その一方で、無駄な支出を抑えて倹約をする地道な努力を、藩全員が一団となって努力したのです。そして、このような奇跡的な出来事がその結果として起きたのです。

現代では、このような堅実なやり方は受けないでしょう。しかし、意外と上記のような堅実なやり方の方が効果が表れるかもしれません。
私の性格だと、ロボットや自動機械を多用し、生産を合理化して全ての物品を廉価に生産し、人間はアイデアを創出したり研究をする分野で活躍をする、という具合になります。農協も農協株式会社にして、農民はその会社員となって給料をもらえば良い、になります。そうなると今までの田畑は借り上げて、広大な農地に生産品を合理的に振り分け効率良く栽培するのです。半官半民の企業ならうまくゆくでしょうし、新たな耕作地の開拓もできるでしょう。なによりも、若者たちも働きやすいと思うのです。漁業や林業も似たやり方が可能かもしれません。皆で考えれば色々と良いアイデアが生まれること必定です。未来を明るく楽しいものにしたいですね。

植木淳一

3 件のコメント:

Unknown さんのコメント...
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Unknown さんのコメント...

こうした債務の未回収から損失に至る事態は、なにも「徳政令」だけではなく、実は日常茶飯事に発生している。それは企業の倒産でしょう。最近は町のあちこちで閉店した商店が目に付くが、こうした商店や企業は多くの借入金や買掛金を持ち、その負債に耐え切れなくなって倒産するのが普通です。だから、倒産した会社と取引のある企業や、お金を貸した企業や個人は、倒産による損失をまともに被ることになるのです。

現在では企業間で物を売り買いすると、大抵、売掛金が発生します。つまりその場で現金決済せず「掛売り」をする。これは、A企業がB企業に鉄材を売って「売り上げ」(売掛金)が発生した場合、その支払いは月末でよい、というような取り決めをすることです。つまり、売買を行った時点から後日に現金の移動が起きることになる。支払いを手形で行う場合も同様でしょう。

ところが、この支払期限がこないうちにB企業が倒産する場合がある。するとA企業のこの売掛金は回収できず損失となってしまう。

しかしA企業では、このように発生した「未回収の売掛金」を帳簿上に「損失」として計上すれば良いことになる。こうして、いくら沢山の商店や企業が潰れても、社会の経済活動は営々と続いてゆく。

植木淳一

Unknown さんのコメント...

補足です。
本文の中の「一石」ですが、これは昔の体積の単位で180リットルを意味します。お米は升(体積)で計るのですが、1石は大人の一年分の食糧に相当します。つまり、10万石というのは10万人分のお米が取れる領地を意味したのです。
昔はこのように領地の大きさを、そこで取れるお米の量で表したのです。