2011年6月23日木曜日

■丸い石の不思議  迷妄を逃れて

 時々、昔、買い溜めた書籍を手にとって見ていると、新たな発見をすることがあるものです。

 昨日、ある理由から堀秀道先生の「楽しい鉱物図鑑」を見ていたのです。すると、ある写真が目に留まりました。それは、丸く白い石の集まりでした。(写真右)
 写真の解説を読むと、これは長野県の湯股温泉でとれる石なのだそうで、成分は炭酸カルシウムで「方解石」に属するのだという。鍾乳洞などにある鍾乳石も方解石の一種だというので、石灰石が圧力などで結晶化したものが方解石というようです。
 写真左の石は「豆石」といい、ボヘミアの有名な温泉地のカルルスパッドで温泉から生じるもの(炭酸石灰)だそうです。こちらは鉄分が含まれているためか茶色になっています。

 この生成を考えると、カルシウムが温水に溶けて水酸化カルシウム(Ca(OH)2)となったものが、炭酸に出会って、水酸化カルシウム(CaCO3)となり沈殿します。それが丸い形になったものではないかと推測いたします。[ Ca(OH)2+H2CO3->CaCO3↓+2H2O ]
 この形成の際に、金属イオンが溶け込むと石に「色」が付くそうです。(銅イオンだと青色、鉛イオンだと濃い紫等。)

 次の写真は「赤鉄鉱」です。こちらは褐色を呈しています。
 赤鉄鉱の形成過程には3つのパターンがあるそうですが、その一つに、温泉近くに湧き出ている熱い温水(80℃~60℃)に溶け込んだ鉄分が、流れ出して後、湯の温度が下がって(10℃~20℃)析出して沈殿したものが丸い形となった場合があるようです。(硫化鉄の溶解度グラフ参照:縦軸は溶解度:水100gあたりに溶けるグラム数)あるいは、他の金属イオンにより置換され鉄が沈澱する場合などでしょう。
 写真には、その沈殿したものが丸い塊となり、それらが集まって鉱物を形成しているように見えます。

 似たような形成過程を経て、これらの他にも丸い石ができる場合があるかもしれません。昔、火星探査でみた火星上にあった丸い石達もこれらのお仲間なのではないかと、ふと思ったのです。

 鉱物学者達は、どこの惑星状の鉱物も地上の鉱物と似たようなものだといいます。これはやはり、惑星の形成過程も同じだし、宇宙空間に漂う同じチリからできたから、似たものになるのでしょう。

 久しぶりに鉱物図鑑をながめ、その美しさを堪能いたしました。
 皆様も一冊、こうした図鑑を持つのも良いのではないかとお勧めする次第です。

 植木淳一

4 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

■ボール状「藍銅鉱」
銅の化合物の藍銅鉱の中にもブルーの玉状の自然石があります。
http://www.istone.org/azurite.html

Unknown さんのコメント...

■赤鉄鉱(ヘマタイト)は研くと美しい光沢を持ちます。
http://angelhalo432.com/?pid=19233951
http://shijo-network.jp/stone/hematite.html

Po さんのコメント...

鉱物の自然の美は
本当にすばらしいですね。
他の惑星には地球と
おなじもの、異なったもの
などあるでしょうね。
興味は尽きません。

Unknown さんのコメント...

自然界の美を追求すると楽しいですね。
他の惑星の自然を想像すると、SF作家などの物語から地上とは異なるとすぐ想像してしまいます。
しかし、その生成過程を考えると、地球と同じ宇宙のチリや隕石が集まってできたものですし、似たような創生過程を経て現在に至っていると想像されるようになっています。

したがって、鉱物学者の中には、他の惑星上の鉱物はどれも地球上の鉱物と似たものだろうと言う人がいるのです。

植木淳一