2011年7月30日土曜日

■風力発電は救世主となれるか!?

最近は雨や曇りの日が多くなりました。こうした天候で少しは暑さが軽減しているので、エアコンを控えて節電にもなります。結局、節電にも良い気候なのかなと考えます。しかし昨日のテレビを見ていて、「明日の電力使用量予報」が出されているのを見ると、やはり節電には気をつかわなければいけないな、という思いに駆られるのです。

私のような素人が日本の電力事情に思いを馳せるのは、こうした事情によるのでしょう。また、東北大震災の影響もあって、社会を挙げて市民一人一人に節電の意識を植え付け、そのための活動を起こそうとしている社会的現象のためだと言えなくもないです。

さて、雑誌「ニュートン」9月号には、「風力発電、その実力は?」と題したトピックが掲載されています。
この結論は、もっとも潜在的エネルギー量が多い「風力発電」が「太陽光発電」を抜いて「再生可能エネルギー」選択のトップに位置するということで、それは世界的趨勢となっていることです。

この「再生可能エネルギー」というのは、石油や石炭、天然ガスのような「化石燃料」に対する言葉で、いわば太陽エネルギー等の変化したものです。どちらも「自然エネルギー」には違いないのですが「再生可能エネルギー」は「化石燃料」のように、使うと枯渇してゆき無くなったりしないエネルギーです。また、二酸化炭素などの地球温暖化に問題となるガスを排出しないクリーンな点も「環境にやさしい」エネルギー源として有用に思われます。同書籍では、この「再生可能エネルギー」として、地熱エネルギー、水力(ダムや流水)エネルギー、太陽光エネルギー、風力エネルギーを上げて比較しています。

先にも述べたように、世界的に見て「再生可能エネルギー」が導入されている首位は「風力エネルギー」で、合計約2億キロワットと「太陽光発電」の4000万キロワットを大きく上回っています。これは潜在的なエネルギー量が多いためで、日本でも風力発電の導入可能量が18.56億キロワットと概算されています。これに対して太陽光発電の潜在的な導入可能量は1.49億キロワットですから、風力発電はその12.5倍の量が日本列島には潜在しているのです。(左図参照:再生可能エネルギーの中では風力発電の潜在量がトップである)
風力発電は単体では風の吹き方により発電量にムラがあります。しかし、多数の風力発電装置を送電線網に連結すると、全発電量もならされて変動量が少なくなり平均化してくるのです。

★日本の電力は全て「風力発電」でまかなえるか?
また、2010年の日本の総エネルギー中に占める「風力発電」の割合は、使用エネルギー全体の0.37%と書かれています。それから計算すると、日本の年間エネルギー使用量(供給量?2010年度)は6.2億キロワットになります。これをまかなうには、前記のように太陽光発電では不十分なので、18.56億キロワットの潜在的エネルギー量を有する風力発電を開拓してゆくのが正解でしょう。風力発電の潜在量は日本の2010年の使用量の約3倍の量があります。

すでに中国では、2005年から2010年までに風力発電を大幅に導入して、米国を抜き世界トップの座に躍り出ました。ドイツは205年には世界トップでしたが、2010年までの五年間に米国と中国に追い抜かれ3位に転落しました。しかし、今後ドイツは原子力を全廃して「再生可能エネルギー」を倍増させる政策を公表しています。

これに対して日本は、世界の「風力発電」導入国の中で発電量が12位の地位にあり、世界トップの中国の発電量の5.4%の発電量に留まっています。まだまだ潜在的な導入可能量を開拓する余地が十分にあると言えるでしょう。

日本では、洋上における風力発電の潜在量が多く、今後、どのように海上に風力発電所を設置してゆくかが大きな課題と言えるでしょう。また、風力発電装置を発電網に接続する方法に関しても、利用しやすい方法等に関する改善策が望まれます。

また、「風レンズ」を用いた風力発電装置は、同じ羽車を使用した従来の風力発電装置に比較して約2倍の発電能力(ある実験装置による値)を持つなど、改良された風力発電装置の活躍で、発電コストを低減させられる可能性が期待されます。こうした「風レンズ」による発電は(風速の3乗で増加するので)同じ風でも装置内の風速が2倍になれば発電量は8倍になります。だから、装置を工夫することにより従来の装置の3倍、4倍という発電量を持つ風車が簡単に作れるし、今後は効率の良い発電装置がでてくることが期待されます。

{参照}★新型風力発電装置中国へ行くー>  http://spacepeople-ga.blogspot.com/2011/06/blog-post.html

しかし、人類のエネルギー使用量は増え続けているので、未来には発電量が頭打ちとなる可能性があります。そのため、今のうちから既存のエネルギーに囚われず他の「再生可能エネルギー」の開発も怠らないことが肝要ではないかと愚考します。

植木淳一

謝辞; 上記図表類3つは雑誌「ニュートン」2010年9月号から抜粋し掲載させていただきました。

4 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

★太陽光発電は可能性あり。
太陽光発電を見ていて考えたのだけれど、これは非常に少ない数値かもしれないと思ったのです。

つまり、太陽からの輻射は、1平方メートルあたり1366ワット。だから、日本の総面積(377、835平方km)あたり、5161.2261億キロワットになります。
これに対して、環境省の試算した太陽光発電の導入(使用)可能量が1.49億キロワットなのだから、これは日本に降り注ぐ太陽輻射の0.029%弱にしか過ぎない値です。それで、何か工夫すればもっと高い値にできる可能性はあるかもしれません。今度、川崎沿岸部に建設される大規模な「メガソーラー発電所」など、ソフトバンクの社長さんが力を注いでいる分野ですね。

★日本の風力発電所は、以下のような所が稼動しているようです、

=== 日本の風力発電所一覧 ===

発電所名!!所在地!!出力

[宗谷岬ウィンドファーム] 北海道稚内市 57,000 kW
{さらきとまないウインドファーム] 北海道稚内市 14,850 kW
[花咲風力発電所]    北海道 [根室市] 1,500 kW
[苫前ウィンビラ発電所] 北海道 [苫前町] 30,600 kW
[島牧ウインドファーム] 北海道 [島牧村] 4,500 kW
[瀬棚臨海風力発電所] 北海道 [せたな町] 12,000 kW
[むつ小川原ウィンドファーム] [青森県] [六ヶ所村] 31,500 kW
[岩屋ウィンドパーク] 青森県 [東通村] 27,000 kW
[グリーンパワーくずまき風力発電所] 岩手県[葛巻町] 21,000 kW
[秋田新屋ウィンドファーム] 秋田県[秋田市] 6,000 kW
[田代平風力発電所] 秋田県[鹿角市] 7,650 kW
[仁賀保高原風力発電所] 秋田県[にかほ市] 24,750 kW
[能代風力発電所] 秋田県[能代市] 14,400 kW
[酒田共同火力発電所#サミットウインドパワー酒田発電所|サミットウインドパワー酒田発電所]
  [山形県] [酒田市] 16,000 kW
[布引高原|郡山布引高原風力発電所] [福島県] [郡山市] 65,980 kW
[桧山高原風力発電所] 福島県 [田村市]・[川内村] 28,000 kW
[ウインド・パワー・いばらき#ウインド・パワーつくば風力発電所|ウインド・パワーつくば風力発電所]
  [茨城県][つくば市] 2,000 kW
[サミットウインドパワー鹿嶋風力発電所|サミットウインドパワー鹿嶋発電所] 茨城県 [鹿嶋市] 20,000 kW
[波崎ウインドファーム] 茨城県 [神栖市] 15,000 kW
[神栖風力発電施設] 茨城県神栖市 10,000 kW
[波崎風力発電所] 茨城県神栖市 1,200 kW
[ウインド・パワー・いばらき#ウインド・パワーかみす風力発電所|ウインド・パワーかみす風力発電所]
  茨城県神栖市 14,000 kW
[ウインド・パワー・いばらき#ウインド・パワーはさき風力発電所|ウインド・パワーはさき風力発電所]
  茨城県神栖市 2,000 kW
[銚子ウィンドファーム] [千葉県] [銚子市] 10,500 kW
[東京臨海風力発電所](東京風ぐるま)[東京都][中央防波堤内側埋立地] 1,700 kW
[八丈島地熱・風力発電所] 東京都 [八丈島]- kW
[横浜市風力発電所](ハマウィング) [神奈川県][横浜市] 1,980 kW
[三浦ウィンドパーク](宮川公園の風力発電) [神奈川県][三浦市] 1,200 kW
[北潟湖|あわら北潟風力発電所][福井県][あわら市] 20,000 kW
[磐田ウィンドファーム] [静岡県][磐田市] 15,000 kW
[石廊崎風力発電所] 静岡県 [南伊豆町] 34,000 kW
[落居ウインドファーム] 静岡県[牧之原市] 9,500 kW
[御前崎風力発電所] 静岡県[御前崎市] 22,000 kW
[風電君](中島浄化センター敷地内)静岡県 [静岡市][駿河区] 1,500 kW
[青山高原ウインドファーム] 三重県[津市] 15,000 kW
[新舞子マリンパーク風力発電所] 愛知県[知多市] 1,700 kW
[田原臨海風力発電所] 愛知県[田原市] 22,000 kW
[田原風力発電所] 愛知県田原市 1,980 kW
[江津東ウインドファーム風力発電所] 島根県[江津市] 22,000 kW
[江津高野山風力発電所] 島根県江津市 20,700 kW
[楊貴妃の里ウインドパーク] 山口県[長門市] 4,500 kW
[大川原ウインドファーム] 徳島県[徳島市] 19,500 kW
[瀬戸ウインドヒル発電所] 愛媛県[伊方町] 11,000 kW
[伊方エコ・パーク|伊方ウィンドファーム] 愛媛県伊方町 18,000 kW
[佐田岬風力発電所] 愛媛県伊方町 9,000 kW
[長崎鹿町ウィンドファーム] 長崎県[佐世保市] 15,000 kW
[阿蘇にしはらウィンドファーム] 熊本県[阿蘇郡][西原村] 17,500 kW
[阿蘇おぐにウィンドファーム] 熊本県阿蘇郡[小国町 (熊本県)|小国町] 8,500 kW
[牟礼ヶ岡ウインドファーム] 鹿児島県[鹿児島市] 10,400 kW
[長島風力発電所] 鹿児島県[[出水郡][長島町] 50,400 kW
[野間岬ウインドパーク発電所] 鹿児島県[南さつま市] 3,000 kW
[甑島風力発電所] 鹿児島県[薩摩川内市] |250 kW
[南大隅ウインドファーム] 鹿児島県[南大隅町] 26,000 kW

出典 Wikipedia 風力発電

★海水流発電
瀬戸内海の出入り口にあたる渦潮で有名な「鳴門の瀬戸」があります。
ここで渦巻きが発生するのは早い潮流が原因です。こういう所の海底に「水流発電装置」を設置すれば恒常的に電力が発生するように思われます。他にも関門海峡など候補地は沢山あると思われます。

植木淳一

Po さんのコメント...

中国が風力発電に力を入れているとは知りませんでした。
関心をもっていないと
国際的な情報は入ってきませんね。

Unknown さんのコメント...

そうですね。私もこのグラフを見るまでは知りませんでした。
風力発電は水力発電ができない山奥にも設置できるし、発電も数十年は続けられるでしょう。また、原始的な装置なので、製作やメンテナンスも比較的容易で、様々な場所での発電に適していると考えられます。

これは前のコメントへの補足ですが、日本列島に降り注ぐ「5161億キロワット」の太陽からの輻射エネルギーを、もっと有効に利用できないかという考えがでると思います。

これには、バイオマス発電とかバイオ燃料{例:アルコール燃料電池}を利用する方策が良いという考えがあります。しかし、これらは二酸化炭素を排出するので、その除去装置が必要となります。この点がネックですが、豊富な太陽輻射を受け取り利用するには「植物」を利用するのが一番だと思います。

植木淳一

Unknown さんのコメント...

★補足
太陽光のエネルギーは意外と大きくて、一般家庭用の6ー5キロワットの電力を、わずか4.4ー3.7平方メートルの広さ(一坪:畳二枚分が3.3平方メートル)に放出しています。だから、このエネルギーを効率よく電力に変えられれば、個人の住宅のなかで必要な電力が得られるのです。(夜間の電力のために蓄電池が必要です)
現在の太陽電池は変換効率が4-8%くらいなので、一坪の面積(約4.5キロワット分)から、180ー360ワットくらいしか電気が得られないのです。この4%を向上させられれば、個人の住宅の屋根とか庭のわずかの面積から、各家庭用の電力を得ることが可能になります。(6キロワット=6000ワット)今後のこうした技術の発展を期待したいです。

植木淳一