2013年5月24日金曜日

★「イプシロン・ロケット」8月22日打ち上げ決まる


jaxa(日本宇宙開発機構)は5月22日、開発を終えた新型のイプシロン・ロケット試験機を8月22日に内之浦の宇宙空間観測所から打ち上げることを発表しました。


イプシロンロケットは、2006年(平成18年)度に廃止されたM-Vロケットの後継機として2010年(平成22年)から本格的に開発が始まった固体ロケットです。M-VロケットとH-IIAロケットの構成要素を流用しながら、全体設計に新しい技術と革新的な打ち上げシステムを採用することで、簡素で安価で即応性が高くコストパフォーマンスに優れたロケットを実現することを目的に開発されている。M-Vロケットの約3分の2の打ち上げ能力と約3分の1の打ち上げ費用(30億円以下)を実現することが具体的な開発目標であった。
このM-Vロケットは、小惑星探査機「はやぶさ」や火星探査機「のぞみ」等を打ち上げた実績がある、かつての日本の主力ロケットであった。しかし、液体ロケットエンジンを採用したHIIAロケットの登場で主役の座を降りた。
このように固体ロケットエンジンで人工衛星を打ち上げているのは、世界の中でも日本だけである。また、日本の固体ロケットエンジン技術は米国に採用され、米国のICBMの固体燃料化に役立った。


このイプシロン・ロケットの軌道への打ち上げ能力は、地球低周回軌道に1.2トン(250km×500kmの楕円軌道)〜700kg(500kmの円軌道)、太陽同期軌道へ450kgとなっています。http://www.jaxa.jp/pr/brochure/pdf/01/rocket07.pdf


これは、日本のロケット界の創始者である糸川博士以来、日本が独自に開拓した「固体燃料ロケット」の最新型です。
また、このロケットは過去の技術を統合したうえ、新たな管理技術(自立型セルフチェック機構)を導入する事により、打ち上げまでの準備期間を、過去には数ヶ月かかっていたのを一週間程度の期間に短縮することに成功しています。
さらには、管制センターの管制官の人数を、パソコン数台で管理する事で、三人程度にまで減少させることにも成功しています。

これはある意味で、夏に遊ぶ「花火」のように、メインエンジンが維持管理や準備の簡単な「固体燃料ロケット」だからできた事ではないかと、私は想像しました。つまり、メインエンジンは工場で作成したのち、乾燥剤とともに倉庫に置いておき、必要になったら上段と共に発射台に設置して火をつければ飛んで行くのです。
ところがH2のような液体燃料ロケットだと、そうは行きません。液体酸素とか液体水素を注入するのにそれぞれ何時間かかるとか、点検にかかる時間も考慮して、綿密な発射計画を実行しなければなりません。万一、発射延期となるとまたその為の作業が大変です。
ともあれ今後は、こうした技術を各国が導入して、打ち上げまでの期間短縮や管理の合理化を行うと想像されます。

今回の打ち上げでは、SPRINT-A を所定の軌道に投入することが主なミッションとなります。
SPRINT-A は、地球を回る人工衛星軌道から金星や火星、木星などを遠隔観測する、世界初の惑星観測用の宇宙望遠鏡で、極端紫外線(EUV)分光器によるイオトーラス(プラズマが濃い領域)の観測や惑星外圏大気と太陽風の相互作用の観測を行うそうです。

打ち上げが楽しみですが、ご成功を祈ります。

植木淳一

1 件のコメント:

植木淳一 さんのコメント...

エプシロン・ロケットの打ち上げは28日となりましたが、当日、発車直前に機体の傾斜が検出されたために、打ち上げは中止となりました。
これはコンピューターによる自動検出機能が働いたためで、コンピューターはそうした異常が発見された場合には、自動的に打ち上げを中止するようにプログラムされています。しかし、実際には機体に傾斜が起きていないとのことなので、現在はその原因を調査中です。



植木淳一