2009年1月27日火曜日

映画「ザ・ムーン」。宇宙開発の行方。

「ザ・ムーン」を見てきました。

アポロ月探査計画のビデオは、これまでに何度か見たことがあります。
そのためもあるのか、あまり新鮮な映像はなかったように感じました。

それよりも、ベトナム戦争の場面で、村や人家の近くに爆弾が投下されて、それが爆発をするシーンがとても印象に残りました。あの爆発によって、どれだけの人達が亡くなくなっているのかを考えると、とても悲しいことです。でも、国連により宇宙は平和利用に規定されているので戦争には使われないでしょう。この映画全体としては、宇宙飛行士たちの回顧録のようでもありました。

映画中では、アポロ11号の宇宙飛行士マイケル・コリンズ氏が語っている場面が多かったのが印象的でした。彼は月に着陸せず、月周囲を周回している指令船にとどまっていた人でした。ですから、これまで月に着陸したアームストロングとオルドリン宇宙飛行士と比較して、彼はあまり脚光を浴びない人でした。今回は映画の中で、彼が多く語っているので、その点が印象的でした。

もう一つ驚いたのは、宇宙飛行士たちが幹部のようにアポロ計画に参加していたことです。彼らは、他の宇宙飛行士たちが月に飛んでいる時、地上の管制センターに詰めていて、月に飛んでいる飛行士たちや計画全体を見守っていました。また、彼らが宇宙船の仕様や構造設計などにも積極的に関与していたのです。
立花隆氏著の「宇宙からの帰還」を読むと、アポロ宇宙船の窓は宇宙飛行士の要請により作成されたと書かれています。つまり、もともと窓はなかったのですが、宇宙飛行士たちが自分の目で宇宙空間を見てみたいという要求が通ったわけです。つまり宇宙船の設計者たちは宇宙飛行士が船外を見る必要がないと考えていたわけです。それに窓を作成することは、宇宙船が構造的に弱くなったり、強烈な太陽からの紫外線が中に入るので危険な面もあるのです。結局、彼ら宇宙飛行士達は計画の中枢部にいたわけです。そのようにして、自分達が乗る宇宙船だから、自分達で良いものにしていったのでしょう。

アポロ宇宙船を搭載した「サターン五型ロケット」は重さ2300トンもあります。それが、推力2500トンのサターンロケットで宇宙の彼方へ飛んで行くのですから凄まじいことです。このようなロケットはとてもお金がかかります。しかし、今、米国はそれを再度行おうとしていたわけです。
今回の金融危機がそれにどのような影響を与えるのかを考えると、その計画が先へ伸ばされた可能性があります。しかし、今は過去のロケット技術からかなり進歩してきているので、ロケットの単価も比較的やすくなっているとは言えます。そして、新たな推進技術が開発されて、かなりのコストダウンが可能になる日がいつか来るでしょう。

映画中に使用されているような月着陸船の映像や月面上の映像はもっと沢山ありますが、カラーの映像が少ないように思いました。月面上のカラー映像は、当時、35ミリカメラで撮影されたフィルム式の映画を、ビデオ映像に変換したものしかなかったのですね。この時のテレビカメラは白黒です。今後は、カラーのハイビジョン映像が欲しいところです。そうなれば家庭のお茶の間でこたつに入りながら、月面走行車からのハイビジョン映像を、まるで自分の家の庭を見ているかのように観察することができます。

やがては、米国は月面に基地を作り、それから月面都市を作ってゆくでしょう。
そうなると、地上が巨大隕石落下で壊滅したり生物界の大量死滅が起きても、月面上の人類は生き延びられます。そのようにして、人類は天体間を移動して宇宙へ飛躍してゆき、生存の可能性を広げてゆけるのです。

よく、地球は生命圏をもつ、かけがえのない天体だという話を聞きます。それは本当のことでしょう。地上を大切にしなければならないことは言うまでもありません。いまのところ人類はこの地上でしか生きられないのです。そこを人類がより良く生きられるようにして行くことは当然のことであります。

しかし最後に、宇宙飛行士が感じたことは、世界全てが一体化している、という感じだったというのです。これは、その時に彼が感じたことですから、本当のところは本人でなければわかりません。しかしあえて想像すると、月も地球も、宇宙に存在するすべてが同じ創造主により作り上げられた、という実感だったのではないかと思うのです。
宇宙はおよそ百種類の元素からできていて、同じような元素が集まり、その天体や鉱物を形成しています。その源は、過去に破壊した星(恒星)から飛散した物質です。あるいは、宇宙に存在しているエネルギーから構成されたもの(元素などの物質)です。恒星の中で核融合などにより各元素が作られ、それが飛散して後、また引力で集まって地球や月などの天体を作り上げたとも言えます。すでに最初の創造から相当な年月が経過しているので、ある意味では、どこもにたような部室やエネルギーが分布していると考えられます。ですから、それらが同じである印象を得たり、一体感を呼び起こしたりすることは道理があるのです。

私たちが旅行をしたり遠隔地に出かけると、そこの波動を感じ取ることができます。
それは何か新しく、また自分の住む場所と違う印象を感じるのです。
つまり、私たちは日常で暮らす場所の波動に慣れてしまい、普段は意識しなくなっているとも言えるわけです。
そのように、旅行をすることにより、私たちは宇宙に存在する様々な波動を感じ取ることができるわけです。
そして、月へでかけた宇宙飛行たちは、これまで地上の人間が感じなかった波動をきっと感じたに違いないのです。だからどうということはないのですが、彼らがその体験を他に話すことにより、全体としての人類の知識か体験が少し増えたということはできます。
今後、どのような知識や体験が増えてゆくのか、それを考えると、ちょっと楽しくなってきます。

今後の宇宙開発の行方を見守りたく思います。

 植木淳一 平成21年1月27日

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