2009年7月9日木曜日

●「屋上緑化」と「ヒートアイランド現象」の緩和(温暖化対策)

●「屋上緑化」と「ヒートアイランド現象」の緩和(温暖化対策)
 東京都にあるビル街などの大都市部では、他の地域より気温が一度Cからそれ以上も高くなるという現象が観測されています。
 これは「ヒートアイランド現象」と呼ばれ、アスファルトやコンクリート、金属などで構成されたビル街では、直射日光のあたる部分が高温度となります。その熱が、建物や道路から大気へ対流や熱伝導により伝わって、都市全体の気温が高くなるという現象です。そのために、夏には都会のクーラー使用量が増え、電力が余分に消費される結果となります。また、クーラーからの熱の排出が、都会の気温をさらに上昇させるという悪循環がありました。
 これまでは、こうした大都市の中での気温低下対策は困難でした。しかし、植物が太陽からの熱を吸収して地表の温度を低下させることがわかってから、これを使用できないかという発想が生まれました。
 現在、屋上に植物を植える(緑化)ことによって、建物に降り注ぐ太陽熱を植物で吸収して、ビルの温度を低下させる方策が行われています。(まだ十分にひろまっているとは言えません)。また、この緑化により、建物から周囲の環境に放散する熱をも低減させることになるので、こうした緑地化したビルが増えることで、都市環境の気温低下が期待できるのです。

 東京都では条例により1000平方メートルを越えるビルの屋上や敷地の新築、増加移築に対して、緑化を義務づけています。今後は、既存のビルや、都市の大部分を占める、より狭い面積の屋上や敷地でも、緑地化を推進してゆくことが望ましいと考えられます。

●東京都の屋上緑化計画 http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/green/index.htm

 ところで、この屋上の緑地化ですが、NTT都市開発の行った屋上の緑地化は、設置も簡単で安価なものであり、はっきりとした効果が確認されている例として注目に値します。

●NTT都市開発の屋上緑化実証実験
 http://www.nttud.co.jp/csr/report/heat_island.html

 NTT都市開発は、サツマイモの水耕栽培システム(100平方メートル)を同社の屋上で実験栽培しました。そして、顕著なビルの屋上面の温度低下を確認しました。また、「さつまいも」が100kg収穫できてご馳走になれた、という副次的な効果がありました。

★同社が「サツマイモ」と、この「水耕栽培システム」を選択した理由として、

「優れた蒸散効果により、気化熱による高温緩和効果が高い」「システムが軽量であり、既存物件の屋上耐荷重でも導入が容易」「防水・防根対策が不要で低コスト」「枝葉の厚みが40~50cmと芝生よりも背が高く、太陽をさえぎる遮熱効果が高い。逆に、樹木よりは背が低く、防風対策が不要。」「病虫害に強い。また、育成や収穫を通じて、人々に癒しの効用などを提供できる」などをあげています。

★この実証実験の結果として、

 同社がこの実験システムを用いて、天候が比較的安定した8月の中旬に測定を行った結果では、サツマイモで緑化していない部分の屋根表面温度は最高温度55℃。サツマイモで緑化した区域は最高温度28℃にとどまった。この差は最大で27℃あり、高いヒートアイランド緩和効果が確認された。また、サツマイモの蒸散作用により太陽からの正味放射量(太陽エネルギー)の80%が吸収されていることも確認できた、という。

 今後は、同社の実験したような効果を、可能な限り都内のビルの屋上や敷地にひろめて行くことが「ヒートアイランド現象の緩和」と、地球温暖化対策への一助として有効ではないかと考えるのです。さらに、秋には美味しいサツマイモの試食にもあやかれます。

 植木淳一

★NTT都市開発の屋上緑化実証実験
http://www.ntt-f.co.jp/news/heisei18/h18-1030.html
★東京・三田 サツマイモで屋上緑化実験
http://news.livedoor.com/article/detail/2649649/
★サツマイモは天然クーラー
http://www.yomiuri.co.jp/eco/saizensen/20081209-OYT8T00418.htm
●屋上緑化の基礎知識
http://www.ecogarden.jp/knowledge/
●屋上緑化システム
http://www.bgpro.jp/
●●屋上緑化の画像検索
屋上緑化の画像検索結果
●〜屋上緑化によるヒートアイランドの緩和〜
http://www.pacela.jp/?cn=100631
●本格屋上緑化から簡単屋上緑化まで取り扱うTLC屋上緑化システム
http://toshin-grc.co.jp/gtec/tlc/top.htm
●緑化スタイル
http://www.ryokka.org/
●屋上緑化のミドリウム
http://www.midorium.jp/
●米国、アトランタの国際屋上緑化会議
http://greenz.jp/2009/07/06/greenroofs_conference/
他にも多数のサイトがありますので、検索エンジンでお調べください。

4 件のコメント:

Po さんのコメント...

私の職場でも、今年はじめて緑のカーテンとしてヘチマとひょうたん、朝顔を育てています。
屋上の防水、重量など建物への影響に気をつけなくてはなりませんが、
様々な効用がありますね。

Unknown さんのコメント...

やはり、あちこちで同様のことをやっているのですね。
しかし「屋上の防水」は雨がビル中に漏らないように、どこでもしているはずなので、通常さらに行う必要はなさそうです。重量に関しては個々に検討しなければならないですね。
NTT都市開発の場合は、なにもしていません。その実験では水耕栽培用の桶に水を補給しているので水は漏らないようです。またプランター(箱)に土を盛って、そこに芋を植えるので、やはり屋上の床に水や土は流れ出さないと思うのです。
問題は大きな木の根などがそうした設備を破ってビルのコンクリートの床を破壊してしまう場合でしょう。
そう考えると、屋上では野菜とか花を観賞する程度のものにとどめるべきかも知れませんね。植木

Unknown さんのコメント...

この記事を書いてから、様々な企業の方が宣伝をしていただきましたことをお礼申し上げます。お蔭様でいろいろ勉強になりました。

私は屋上に芋を植えることだけが都市温暖化への対策とは思いません。それで、工場の屋根などには、下記のリンクにある「冷えルーフ」とか「断熱塗装」などは最適ではないかと考えます。
しかし、ゆとりのあるビルの屋上では、やはり芋などを植えるのが良いと思うのです。それは将来、不意にやってくる関東大震災規模の災害時に、少しでも食糧が確保されていれば、それだけ助かる人達も増えるからです。芋がどれだけ必要なのかは論外です。しかし、江戸時代から「さつまいも」は飢饉対策として栽培が奨励されていました。東京都内のビルの屋上面積を合計すると、一体どれくらいの耕地面積に匹敵するでしょうか。そのメリットは膨大です。
それと、ビルの中の人達にとっては、秋の収穫の時に「芋煮会」などをして、収穫を喜ぶのと同時に、同じビル内部人達の親睦を深める行事も開催できます。
このように、都市環境の冷却化、食糧の増産、都市で働く人達との親睦、の三つの要素が、屋上さつまいも栽培の利点として挙げられると考えます。
●宣伝をしていただいた企業の方達
★冷えルーフ(屋根の温度を下げる)
http://www.aichitechno.co.jp/?gclid=COb1zdre75sCFcEtpAodtHrp_w
★苔植物を使用した屋上緑化
http://www2.big.or.jp/~moscatch/
★太陽光を宇宙へ反射するロードクーラー
http://www.cm-con.co.jp/eco/01.html
★夏涼しく冬温かい家のための遮熱材料
http://www.nagai.co.jp/bhouse/
★屋上緑化でエコライフ
http://www.inverde.com/ryokuka02.html?gclid=CPrF04Xe75sCFRUwpAodJByn_Q
★多機能性断熱塗料 ガイナ
http://gaina.ecocoro.biz/?gclid=CNzyyLfe75sCFc0vpAodrgiY_Q
★塗装工事 愛知テクノ
http://www.aichitechno.co.jp/?gclid=COb1zdre75sCFcEtpAodtHrp_w

Unknown さんのコメント...

●芋煮会(いもにかい)
私は関東地方の南部に住んでいます。しかし最近まで、芋煮会が東北地方の発祥だとは知りませんでした。ちなみに私の住んでいる地域では「芋」はサツマイモだったようです。また親の住む地元では、芋煮会と言っても「豚汁」で、寒いときには最適!その汁の中になんかの芋が入っていたような記憶があります。どうやら東北出身の指導者がいたようです。とにかく芋煮会は、皆で楽しめればいいわけで「正当性」に拘る必要はないと思います。
★「芋煮会(いもにかい)」の風景
http://www.4410.com/_site/20011014699.html
★「芋煮会」が主として東北地方特有の行事だという
http://people.zozo.jp/franchekbenista/diary/253451
★「芋煮会」の芋は里芋らしい
http://plaza.rakuten.co.jp/itwillclearup/diary/200810260000/