2009年8月13日木曜日

今日はお盆の入りでした。

今日(13日)は「盆(ぼん)」のお迎えの日にあたり、夕方、街角には提灯を持って、お墓参りに行く人が多く見られました。なんとも風情があってよいものです。

これは、先祖の精霊を迎えに行く行事で、先祖供養の一環として仏教と共に日本に伝来し、古くから行われていました。この期間は、先祖達の精霊とともに家族は過ごすことになります。そして盆踊りがあります。後に15日夜から16日にかけて送り火を焚き、あるいは提灯をもってお墓参りをし、また水辺の地域では精霊流しをして、精霊を送る行事を行います。

こうした盂蘭盆(うらぼん)の起原については2説があるそうです。ひとつは「倒懸」つまり逆さ吊りの意のサンスクリット語、ウランバナの漢字音写だとする説です。「盂蘭盆経(うらぼんキョウ)」によれば釈迦の十大弟子のひとり目連(モクレン)が、死後、餓鬼(がき)道におちた母の倒懸の苦しみを救うため、釈迦の教えにしたがって供養、祈願したのが盂蘭盆会(うらぼんえ)の始まりであるとされています。もうひとつは、死者の霊を意味するイラン語系のurvanという語に由来し、イラン系ソグド人が中国に伝えたのが仏教に取り入れられたという説。
いずれにしても「お盆」は、8月15日の終戦記念日が中に含まれる期間であり、また広島(8月6日)や長崎(8月9日)の原子爆弾投下の慰霊祭の後でもあります。そのためか、特別な雰囲気が漂う時期となっています。
この原子爆弾の慰霊祭の時には、広島や長崎からのテレビ中継がありました。朝方でしたが、原爆投下の時刻から一分間の黙祷をして被災者達の冥福を祈りました。いつもそう感じるのですが、真夏の明るい日差しの中で、なんともいえない重い雰囲気が支配する時となっています。

もしかしたら、お盆をこの時期に行うということは、戦争中の死者達の霊を弔う意味も含まれているのかもしれません。とにかく、かつてのような悲劇の戦争を起こしてはならないのだという反省の意味をこめて、今後もこの行事を行うことは、戦時の記憶が薄れて行く現在、さらには今後の日本にとっても大きな意味があると思います。

植木淳一

2 件のコメント:

Po さんのコメント...

お盆の習慣は良いですね。

Unknown さんのコメント...

昔は大家族制でしたが、そうした絆が途絶えて、出稼ぎ人も独立して核家族化が進んだ現在、家族が一同に会して集いあう機会は少なくなったといえます。東京地方に働きにきている人たちも、お正月と盆には親のいる地元に帰り、家族ともに過ごすというこの習慣は、やはり大切なものといえますね。私は今の場所で生まれ、すでに親も祖父母もいないので、帰る所はないのですが、世の中には必要なものだと考えます。