2009年11月1日日曜日

●高脂血症薬がインフルに有効か?

●高脂血症薬がインフルに有効か?
 朝日新聞の10月31日夕刊によると、高脂血症薬「スタチン」がインフルエンザ重症患者の死亡率をほぼ半減させることが、オレゴン州など米10州の保険当局者の研究チーム疫学調査でわかった、という。

 この結果は当地で開催された米感染症学会で30日に発表された。発表によると、07~08年に10州の成人約2800人の季節性インフルエンザの入院患者を調査し、入院中か退院後30日以内の死亡率がスタチンの投与を受けていた人は2.1%、受けていなかった人は3.2%だった。
 投与を受けていた人は、そうでない人より高齢で心臓病などの病気にかかっているにもかかわたず、死亡率が半分近くになっていることから、研究チームは「スタチン投与は死亡率の低下と関係がある」と結論づけた。
スタチンには血中コレステロールを下げる働きのほか、免疫抑制の効果もある。インフルエンザが患者の免疫系がウイルス感染に過剰反応することにより重症化するが、スタチンはこれを防いでいるらしい。
 今回の調査は季節性インフルエンザに関するもので、新型の豚インフルエンザについては調べていない。しかしこの研究チームは新型の豚インフルエンザにも同じ仕組みで効果があると期待しているという。
 発表したオレゴン州保険局のメレディス・バンデミーアさんは「抗ウイルス薬のタミフルに比べると、特に後発薬スタチンは安い。治療効果が実証されれば、途上国でのインフルエンザ対策に役立つのではないか」と話している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 以上 同新聞記事より

 こうした、すでに他の治療薬として使用されている薬剤が新型のインフルに効果があれば朗報です。この薬剤の効果を新型インフルに対しても検証すると同時に、似たような効果のある薬剤が他にもあるかもしれないので、そちらの調査も必要だと思いました。

 国立感染症研究所の報道によると、先々週のインフル受診患者数が84万人、先週は114万人ちかくもいたという推計がでているので、今後も患者数が急増する可能性があります。また、患者数の増加と共に、重症化する患者数も増えると予想されます。こうした時に、重症患者の存命率が向上する薬が発見されたことは明るいニュースと言えるでしょう。 
 新型インフルに日本国民全員が感染するのは時間の問題かもしれませんが、よき治療薬がいくつも登場して、感染しても重症化せずにすむような世の中になれば良いと期待するものです。
 植木淳一

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