2009年12月17日木曜日

★宇宙から見た地球のブラックカーボン(BC)の汚染状況 & COP15

ブラックカーボン(BC: Black Carbon: 大気中の「浮遊性炭素微粒子」)が気温上昇に寄与している。
今日のNASAの写真は、宇宙から見た地球のブラックカーボン(BC)の汚染状況を写したものでした。この写真中で、スモッグ(煙)のように見えるブラックカーボンの状況を見ると、日本周辺のアジア上空に濃い雲が見られます。つまりこの地域でのBC発生が特に多いわけですが、これは今後の課題となるかもしれません。

【中国とその周辺諸国に大気汚染防止技術や機器を提供し、その方策のための援助をしよう!】
http://www.nasa.gov/images/content/412296main_black_carbon_full.jpg
http://www.nasa.gov/multimedia/imagegallery/image_feature_1546.html

ブラックカーボンは、炭素燃料が不完全燃焼をする場合に大気中に放出されるエアロゾル(微粒子)で、大気中に浮遊するこの炭素微粒子は、太陽光線を強く吸収して大気の温暖化をもたらすとされています。簡単に言うと、焚火などで木や紙を燃やしても出てくるし、自動車の排出ガス中にも含まれています。
http://www.t-dylec.net/products/r_p/r_p_008.html

その大気気温への影響を「九州大学 応用力学研究所」のホームページから引用させていただくと、
『850-2000年の対流圏オゾン変動は+0.3℃の気温変化をもたらした。これは、その他の温室効果気体(CO2 + CH4 + N2O + CFCs)の変動+2.2℃(本実験)の14%であり、対流圏オゾン変動が全球気候に対して無視できない影響を持つことが示された。また、ブラックカーボン(BC)変動による地表気温上昇は約0.5℃であり、夏季の北米、欧州、そして特にアジア大陸中央で1℃以上の大きな昇温パターンが見られた。』
http://www.env.go.jp/earth/suishinhi/wise/j/J07B0051500.htm
http://www.env.go.jp/earth/suishinhi/wise/j/pdf/J07B0051000.pdf
とあります。
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また、地球温暖化防止対策として、低層オゾンを形成するガスの排出抑制と、ブラックカーボン(BC)の排出を抑制する方が、リスクも小さく費用対効果の点で良いという指摘もあります。

『二酸化炭素排出量削減の恩恵は世界全体で享受できるが、削減コストは各国が負担しなければならない。このコストと恩恵のバランスの見極めが難しいために国際条約をまとめるのは難しい。一方で、リスクが小さく、費用対効果が高く、大きな成果が得られるのに、ほとんど注目されていないオプションがある。それは、光を吸収し(温暖化を進める)「ブラックカーボン(=黒色炭素)」として知られる炭素粒子、そして低層オゾンを形成するガスの排出を削減することだ。黒色炭素と低層オゾン前駆物質の排出量削減はさまざまな意味で有望だ。コストが比較的小さくて済む上に実行しやすく、何十年分もの温室効果ガスの悪影響を相殺し、数多くの恩恵が直ちに得られ、しかも、いますぐに着手できる。』
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/200910/Wallack_Ramanathan.htm
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今、COP15会議がコペンハーゲンで開催されています。この会議で、2012年に期限切れとなる「京都議定書」の後継となる合議が成立ち、地球の良き未来のために大きな前進が得られることを期待したいものです。
http://www.ambtokyo.um.dk/ja/menu/COP15/WhatIsCOP15/

●UK in JAPAN 「COP15の重要性」
http://ukinjapan.fco.gov.uk/ja/cop15/
★COP15 デンマーク大使と走ろうエコ・サイクリングツアー
 ホットドッグガールもいる!
http://cop15.blog.ocn.ne.jp/
http://www.j-cycling.org/eco/cop15/

★【COP15】作業部会議長案が判明 交渉二転三転、最後までドタバタ
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/091216/env0912161059005-n1.htm
★【COP15】議定書延長論で追いつめられる日本
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/091217/env0912170146000-n1.htm
★【COP15】先進国を批判するチャベス節に拍手喝采
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/091217/erp0912170951002-n1.htm
★COP15】途上国支援で歩み寄り 交渉が動き出す可能性も
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/091217/erp0912171008003-n1.htm
植木

5 件のコメント:

Po さんのコメント...

COP15なんとか合意文書が出来てよかったですね。

Unknown さんのコメント...

そうですね。

Unknown さんのコメント...

COP15が終わりました。この会議の決裂は避けられたようですが、地球温暖化への対策として各国は協調した行動を起こすということには合意したようです。また削減目標を設定することに対する具体的行動案は来年の11月のCOP16まで持ち越しという話らしいです。

【オバマ大統領は「歴史上初めて世界の主要国が集まり、気候変動の脅威に対し行動を起こすことへの責任を受け入れた」と合意の意義を強調した。さらに協定については「極めて困難で複雑な交渉の結果達成した進展は、将来の国際的行動の礎となる」と今後の進展に期待を示した。】http://sankei.jp.msn.com/world/america/091220/amr0912201154004-n1.htm

この会議では、先進国の中でCO2削減目標を提示していない米国と中国が注目の的でしたが、やはりこの両国もそのままのようです。http://sankei.jp.msn.com/world/america/091219/amr0912192033007-n1.htm

中国に関しては、世界各国の工業製品や食料を生産し輸出しているので、この点で特別な扱いを受けてもよいような気がします。つまり、工業生産にはCO2排出がつきものです。そして世界の工業製品の大きな部分をこの国が生産しているからです。
本来は、CO2排出ガス削減装置などの費用を自国の製品価格に反映させて外国へ販売するのが原則ですが、そのように自国の努力だけで削減するのも中国の場合、統制がとれず大変だと思うのです。
それで、たとえば中国から製品を輸入する国はCO2削減費用の一部を「CO2抑制費」として負担するようなことも同じ結果になるでしょうけれど一案です。そうした「税金」を中国の国家管理の「排ガス規制委員会」が集めて、輸出製品を生産している工場群に「排出ガスクリーン装置」を設置してゆくのです。また、輸送に関しても同様のことがあるので、車やトラックなどへ排出ガス規制装置を取り付けてゆけばよいわけです。このようにすれば、機器の設置台数などから大よその削減効果が算定できるので、立ち入り調査なども省ける可能性があります。米国に関しては、とりあえず拠出金額で活動に貢献をしていただくということでどうでしょうか。

発展途上国に関しては、先進諸国の拠出費用(日本が1兆数千億円、米国が毎年9兆円拠出等)を集めて途上国へ分配し、とりあえずその金額分(できればそれに若干上乗せする程度)だけでも排出規制をやってもらう、という程度でも良いと思います。

地上の気候変動は太陽の活動によっても起きるので、なかなか大変です。大自然からの変動に関しては、人力でその変化を変えることは難しい部分があるでしょう。

とにかく、これから起こる地球環境の変化に対応して、国々を超えた連帯の輪が地上に広がり、人々が手を取り合ってその変化を乗り越えるてゆくことが必要ではないかと思うのです。

植木

Unknown さんのコメント...

地球温暖化に関して、色々な角度から検討しなければならないという現実があります。

たとえば水没の危機に直面しているツバル共和国です。
この水没の原因は、海面上昇ではなく、石灰岩でできている土地が海水に溶けて侵食され、土地の沈下を招いている可能性があります。この現象はどうしようもないものですから、オーストリアのような広い土地へ移住するのが最善の解決策でしょう。しかし、こうした被害を広げないためにも、現在行っている排出ガス規制と温暖化を抑制する方策が賢明だと思います。

●オーストラリア政府機関、ツバルで75mmの海面上昇を報告
http://tuvalu.site.ne.jp/topics/20070115/top.html

●「ツバルの水没は海面上昇が主因ではない」という意見
 ツバル共和国の土地はさサンゴ礁でできている。(石灰岩と同じ)近年、地球温暖化で海水温が上昇し世界中のサンゴが死滅しはじめた。(サンゴの白化現象)
 また、海水中に二酸化炭素が溶け込む量が増えたり生活様式の変化で、海水が酸性化した。こうした酸性水がサンゴ礁を溶かし、海水によるツバルなどの土地侵食を招いた。(石灰岩は酸に溶ける)
 ツバルでは満潮時に島のあちこちの地面から海水が染み出してくる。だから、すでに島の内部や地下には酸性海水が浸入してサンゴの土台を溶かしている。また、島周辺の死滅したサンゴはサンゴ礁を復旧・修復させることはできない。こうしてツバルは土台が侵食されサンゴが溶けた穴が無数に開いた状態となり、それが重さで圧縮されて土地の沈下を早めたらしいと推測。
http://d.hatena.ne.jp/satohhide/20071014/1192328790

●ツバルの水没は地盤沈下が原因ではないか?
http://d.hatena.ne.jp/mino-02/20081208/1228697877

●大阪では過去100年で260cmの地盤沈下があったが堤防の設置で水没しなかった。
http://hiroshi-kobayashi.at.webry.info/200803/article_1.html

過去に関東や大阪などの工業地域では、地下水の大量くみ上げにより地盤沈下を起こしたことがありました。この時、土地が年々沈下するので、政府は地下水の汲み上げを規制したところ、地盤沈下は治まりました。今でも江東区や台東区などでは、堤防に守られた海水面以下の土地があります。このように、地下水は土地を維持するのに役立っているものです。結局、人間が既存の自然界の要素をいじる事は慎重に行わなければならないと思う。

植木

Unknown さんのコメント...

「産経ニュース」によると、世界の気象科学者らでつくる南極研究科学委員会(SCAR)は、地球温暖化が今のペースで進んだ場合、今世紀末には海面の上昇幅が1.4メートルに達して「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が2007年に予測した18〜59センチを大きく上回るとの報告書をまとめ、これを1日付の英紙タイムズが報じた。
この海面上昇の結果、インド洋の島国モルディブや太平洋のツバルなどは海水に浸るか水没し、ロンドンやニューヨーク、上海といった海に比較的近い大都市は防壁の設置などに巨額な支出を強いられるとしている。今世紀末の海面上昇がIPCC予測の倍以上になったことについて、SCARの科学者は、IPCCは南極やグリーンランドの氷床の溶解を過小評価したためと指摘している。(共同)

●海面上昇幅1.4メートルも 今世紀末、予測上回る
http://sankei.jp.msn.com/science/science/091201/scn0912012220002-n1.htm