2010年6月6日日曜日

小惑星サンプルリターン成功か!? 「はやぶさ」13日地球へ帰還

いよいよ6月13日23時の深夜に、日本の打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ」は地球へ帰還します。
この「はやぶさ」探査機は、2003年5月9日に打ち上げられ、最新鋭のイオン・エンジンを搭載して、地球と火星の中間にある小惑星「いとかわ」へ科学的探査の目的で向かいました。そして、2005年9月に小惑星「いとかわ」に到着し、科学的な探査と二回の着陸を行い、同小惑星表面の資料採取を行いました。
しかし、この小惑星の表面が高温度であり、「はやぶさ」も小惑星表面の日当たりで百度を越える高熱にさらされたため、燃料タンクから燃料漏れを生じ、機器系統もうまく作動しなくなるなどのトラブルに見舞われました。そのために、予定した帰還日程を変更して、2010年の6月に地球へ帰還し、採取した資料をオーストラリアへ投下して、その使命を果たすことになりました。

2005年9月中旬から11月下旬にかけて行った小惑星イトカワの科学観測では、高度20km~3kmの距離から4類の観測機器を用いて、イトカワの形状、地形、表面高度分布、反射率(スペクトル)、鉱物組成、重力、主要元素組成などを観測しました。その結果は、小惑星の形成過程を考える上で、まったく新しい知見をもたらしたようです。このように、普通に存在する小型小惑星の詳細な姿を明らかにしたことは、今後の全ての小惑星探査における重要な指標となるものであると評価され、日本の惑星探査では初めて米科学誌「サイエンス」から特集号として発表されました。

来週6月13日に予定されている「はやぶさ」の地球大気圏突入と、それに搭載された小惑星の表面から採取したほこりや微粒子などが入ったカプセルが、うまくオーストラリア周辺で取得できることを祈ります。

この作業で「はやぶさ」探査機は大気圏突入時に大気との摩擦で粉々に破壊されますが、小惑星表面からの資料の入ったカプセルだけは地上にパラシュートで無事降下し、取得される予定です。

それにしても、2003年から7年間にわたり同プロジェクトを担当して、長年の間、苦労をされた方々には「ご苦労様でした」とねぎらいの言葉をかけてあげたいです。また、今後の宇宙開発の進展を期待する者です。

●イオンエンジンについて
イオンエンジンというのは、通常の化学燃料のロケットエンジンと区別する呼び名です。
イオンエンジンは、キセノンなどの不活性ガスを燃料として用います。そして、そのガスを高電圧や高周波の電気でイオン化し、千ボルト以上の電場で加速して噴射し、エンジンの推進力として用いるのです。ジェットエンジンやロケットエンジンは、その噴射するガスの速度以上の早さにはなりません。しかしイオンエンジンのガスの噴射速度は化学燃料を燃焼させて推進力を得るロケットエンジンより高速なのです。したがって、イオンエンジンは通常のロケットエンジンより早い速度にロケットや宇宙船を加速することができます。こうしたエンジンはより遠方への天体探査(深宇宙探査)に必要な技術となっています。
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2003/1226.shtml
★はやぶさのサイト(Jaxa)
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hayabusa/index.shtml
★「はやぶさ」ライブBlog
http://hayabusa.jaxa.jp/
★Jaxa「はやぶさ」情報サイト
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hayabusa/relate.shtml
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★「はやぶさ」のたどった軌跡
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○2003年5月9日打ち上げ
http://www.isas.jaxa.jp/ISASnews/No.267/isas.html#op
○2003年10月7日 小惑星をいとかわと命名
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2003/1007_2.shtml
○2003年12月26日 はやぶさのイオンエンジン快調
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2003/1226.shtml
○2005年9月12日いとかわに到着
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/0912.shtml
○2005年11月20日 第一回「いとかわ」着陸・88万人の署名入りターゲットマーカーを投下
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/1120.shtml
○2005年11月26日第二回いとかわ着陸・資料採取
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/1126.shtml
○2005年11月27日はやぶわの一番長い日
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/1128.shtml
○2005年12月14日はやぶさのトラブル状況
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/1214.shtml
○2010年6月13日JST23時頃 カプセルはオーストラリアへ降下予定
http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2010/0421.shtml

植木淳一

4 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

{補足}
「はやぶさ」のおもな測定結果です。
★小惑星「いとかわ」付近での太陽の輻射圧決定
http://www.isas.jaxa.jp/j/forefront/2006/yoshikawa/02.shtml
 1.261x10-10[km/s**2]= 1.25 [m/s/日]=4.5 [km/時/日]
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/1025.shtml
★小惑星「いとかわ」の質量決定方法
 イトカワの体積は1.84×107m3
 密度は約1.9g/cm3
http://www.isas.jaxa.jp/j/forefront/2006/yoshikawa/03.shtml
★小惑星「いとかわ」の自転周期(約12時間)
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/0907.shtml
★はやぶさのイオンエンジン技術
http://www.isas.jaxa.jp/j/forefront/2004/kuninaka/index.shtml
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/0829.shtml
http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2005/0309.shtml
植木

Unknown さんのコメント...

祝>「はやぶさ」のカプセル回収成功!!

6月13日の11時22分に「はやぶさ」は大気圏へ突入し、オーストラリアのウーメラ砂漠へ降下しました。この際、「はやぶさ」本体は大気とのまさつで破壊されましたが、耐熱シールドに守られ小惑星の成分が入っている可能性のある回収カプセルは、無事パラシュートで地上に着陸し、回収された模様です。「はやぶさ」プロジェクトの成功を祝います。
http://www.isas.jaxa.jp/home/hayabusa-live/

★「はやぶさ」帰還のNHKニュース映像
 大気圏へ突入して高熱で光っている映像のなかで、一番下に光っている光点が耐熱シールドに守られた回収カプセルではないかと思われる。これで、小惑星から資料を回収する技術は成功したことになります。今後、同カプセルは相模原の研究所へ送られて、数ヶ月かけて回収された資料の分析が行われる予定です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100614/k10015105131000.html

植木淳一

Unknown さんのコメント...

「はやぶさ」が小惑星の探査を行った背景には、小惑星がどのような物質でできているのかという学問的な興味がありました。
ご存じかもしれませんが、地球や火星、月、などの比較的大きな天体は、大昔に小惑星や彗星核(彗星の中心にある個体部分)が落下集積してできた、と考えられています。(宇宙空間では、水は「氷」となっています)。そうなると、地球のような天体の元になった小惑星等がどのような物質でできているかを知ることは、地球全体の物質の構成比率を推定する上で役に立つのです。
例えば、地球上の「水」は彗星核にも含まれているので、地球上の水は彗星核からきたことがわかります。また地球の内部に核として存在する鉄などの重い金属はどれくらいあるのか等です。
隕石や隕鉄などは、いまでも地球に飛来してくるそれらの一部です。しかし、隕石は途中で大気の摩擦により高温化し燃焼しているので、有機物やアミノ酸などの存在がなくなっている可能性があります。(しかし時々隕石中に有機物やアミノ酸が含まれていることが発見されている。これは生命の発生に重要なことである。)
そのために、宇宙空間に浮かんでいる小惑星や彗星核へ出向いて、直接に何でできているのかを調べることも重要となります。こうして「はやぶさ」の小惑星サンプルリターン計画は実行されたのです。
また「はやぶさ」にはイオン・エンジンという電気力を用いた新らしい推進技術が使用され、その性能の評価にも役立ちました。今後の深宇宙探査には、イオン・エンジンと「イカロス」のソーラーセイルが多用されることと思われます。(ソーラーセイル:太陽からの輻射圧を利用して宇宙船を推進させる装置)とはいえ、「宇宙をより良く知る」という学問的な興味はまだその端緒についたばかりです。その前途は果てしない道のりと広大な領域が広がっています。
再度、同プロジェクトのご成功を祝し、今後のさらなるご発展を祈りたいと思います。
植木淳一
* みたぞ、はやぶさの凱旋 (松浦氏のブログ)
http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2010/06/post-0db1.html
* CNN News from Tokyo
http://www.youtube.com/watch?v=v5bNHEugNQw
* Sky Net News
http://www.youtube.com/watch?v=mVhGLoGuh_8
* 第二、第三の「はやぶさ」計画 (松浦氏のブログより)
http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2010/06/post-9d43.html
* 小惑星探査機「はやぶさ」地球へ帰還 (毎日サイト)写真と解説
http://mainichi.jp/select/wadai/graph/2010hyabusa/index.html
* NHKのニュース
http://www.youtube.com/watch?v=-6vYxbpdIu0
* はやぶさの大気圏突入拡大映像
http://www.youtube.com/watch?v=neuAtoXoR5s&feature=related

Unknown さんのコメント...

「はやぶさ」のサンプル回収器の中に気体と微粒子が入っていたようです。
http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2010/07/post-6bbd.html
植木