2010年6月18日金曜日

●給料も「割り勘」で!!!タイムシェア、サラリーシェア

先日テレビをつけたら、池上さんの番組があったので見ていました。その番組では最初に、オランダの美しい風景が流れていたのです。それでその光景を見続けていたのです。

オランダは国土の大部分が海面下にあります。それで、有名な風車群を使用して水を汲み上げて、耕作地や居住地が水没しないようにしているのです。また地図を見ると川が沢山あるのに気づきます。こうした国土に住むオランダの人達は、団結力が強く、互いに助け合いながら生きているのです。

ところで、日本人は会社帰りに飲み屋に入って「割り勘」ということをします。あるいは学生のコンパで、参加費用を各自が均等に負担します。このように、かかった費用を参加者各自が分担して支払うことが良くあります。この「割り勘」ですが、英語では「Go Dutch」(ゴー・ダッチ:オランダ式でやろう)といいます。つまりは、オランダ人がよくやる方法なのです。

このオランダですが、かつて天然ガスが採掘され、それで外貨が稼げるようになった後に、不況に陥りました。そして失業率が12%に達したというのです。このために、オランダ政府や民間人が様々に解決のための方策を練りました。そして出した結論が、会社員の給料も「割り勘」で払おう、ということになったのです。

これは、たとえば会社が不況となり、いままで100人の従業員の給料を払っていたものが、95人分しか払えなくなったので、5人を「リストラ」しなければならない状況になったとします。普通に考えると、そのまま5人の首を切り、会社を辞めさせて、社員を95人にするわけです。
しかし、オランダの人たちはそうしなかったのです。なんと、全員の給料を今までの95%に下げ、100人全員を雇い続ける方式をとったのです。これで失業率の上昇を抑えたのでした。
このように、苦しいときには、皆でその苦境を「分かち合う」という態度は誠に立派だと考えます。この逆に、栄えた時にも皆でその報酬にあやかることもあるでしょう。いずれにしても、この方策は労使双方の話し合いで合意され、行われたわけです。

こうした逆境も悪いことばかりではないようです。たとえば、業務が少なくなり、会社での労働時間が短縮されたため、他のアルバイトが認められて、そちらから不足分の収入を得るということが多く行われたそうです。そうなると、正社員を少なくしてパートを増やすということ(可能ならば)が良いわけです。これなどは、まさに、給料を分割して多数人にばら撒く方策のひとつでしょう。

もしろん、そうしなくても良い人もいたでしょう。そうなるとアルバイト人口が増えて、正社員というのは、単にフルタイムの労働者というだけのことでしかなくなったようです。

こうした方式が、ある会社ではメリットを生む可能性がありますが、日本での導入に際しては、日本人の土壌にあわせた方法があるのかもしれないとテレビでは述べていました。

そうは言っても一企業内で行うのは、なかなか大変でしょうし、もともと人間は給料を上げることは良いが、下げることに対して多大な抵抗をするものです。
昔、松下幸之助氏の時代に、松下電器が業績が振るわず、社員達をリストラせざるをえない危機に瀕したことがあるそうです。
そのときに、松下氏は、ここまで会社を盛り立てて一緒にやってきた社員達だから、なんとかリストラをするのは止めようと考えました。そこで社員達全員に業績が振るわないことを説明し、社員一人一人に自社製品を知人に一つでもいいから売って、業績の挽回に貢献して欲しいと訴えたのです。
こうして社員達は、親戚や知人宅を奔走して製品を売り歩いたため、会社は危機を脱してまた業績を上げることができたのだという話でした。

こちらの方は製造業ならできなくはない方法でした。しかし、このようにして業績を挽回できることも、ある限度がありそうです。結局、現代のように不景気がほぼ固定化した時代においては、企業は様々な工夫により生き延びる方策を探ってゆかざるを得ないのでしょう。

とはいえ、このように喜びも苦しみも皆で分かち合い、助け合って生きてゆく、という生き方はとても素晴らしい事ではないかと考えるのでした。

植木淳一

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