2010年9月7日火曜日

●トキを思う。(地球温暖化、生態系の変化など)

先日、九州の知人から手紙が届きました。
それは彼の近況を知らせた手紙でしたが、その中に、気温の上昇に従って作付けする米の品種が「ひのヒカリ」から新改良品種「さがピヨリ」に代わったことが述べられていました。他に、海苔の品種も新らしく改良された品種へと代わったそうです。
このように、少しづつ変化する気候にあわせて、お米や野菜等の品種を、変化した気候に適合した品種に代えてゆけば、当面は食物の不足に喘ぐことはないでしょう。農魚業関係者達には、そうした努力を気候の変化が続く限り、今後も永続的に続けられることを望む次第です。

過去の生物達の研究からわかることは、自然に適応した生物達が生き残り、繁栄していることがあげられます。
人間も、霊長類の頂点に立つ存在として、そうした自然への適応能力の発揮を怠ってはならないと考えます。もしもそれを怠って絶滅したら、その辺にいる「絶滅危惧種」と変わらない存在でしかないわけです。

絶滅危惧種としては、日本の「トキ」が挙げられます。
トキに関して、先日のNHK番組でもやっていましたが、彼らが縮小の一途をたどったのは、生息地である佐渡の水田の工作面積減少と関係があるようです。佐渡では過疎化と農業従事者減少により水田が減り、かつての何分の一の面積しかなくなってしまいました。しかしトキは、そうした水田に住む生物達をえさにして生きていたわけです。従って、トキ達を繁栄させるには水田の耕作面積を広げる必要があるわけですが、これは難問です。現在、農業従事者を田舎で増やす事は様々な理由から難しいのです。

この事は、かつて人間が平野を耕し水田や耕作地、ため池や水路、草原をつくって、自然界を開拓し維持していたために、多様な生物達がそこに生息することができた事に関係しています。
また、山の木を定期的に伐採したり間伐することで、森林を健全に維持してきた歴史があります。これを「里地里山」という言葉で表現しました。
現在、過去に人々が開拓し長い間維持されてきた、そうした人為的な自然体系が崩壊しはじめているのです。でも今は、この思想に則った活動を行える人達が、どれくらいいるのか疑問と言わざるをえません。田舎の過疎化により年々減少の一途をたどっています。

さらには、気候の変化や貿易の拡大から、外来生物が日本に入ってきて繁殖し、既存の生態系を変えてしまう事象が増えています。また、国内でも、気候や生態系の変化から、様々な「生物界の異変」が起きています。

かつて、ゴア元米副大統領が「不都合な真実」(ランダムハウス講談社:2006年発売)を著してから四年が経過しました。しかし気候変化に関してはそれ以前から言われていたことです。

今や地球全体が変化の途上にあるのですから、私達もその変化を見極めながら、それに追従して、様々な手を打ち適応していかなければならないと考えるわけです。

人類が「賢い霊長類」なのかそれともトキの一派と変わらない存在なのか、これから試される時ではないかと思うのでした。

植木淳一

●地球大異変 巨大地震や超大型台風の脅威 日経サイエンス編集部 編
http://www.nikkei-science.com/page/sci_book/bessatsu/51153/51153-maegaki.html
●地球異変 余禄
(これは朝日新聞社発行の「地球異変」の続編という意味らしい)
http://doraku.asahi.com/lifestyle/earthphoto/

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

【太陽活動の異変?】

先日、アマチュア無線をしている人からある話を聞きました。
それによる「太陽の活動」がまだ上昇していないと言うのです。

この、「太陽活動」の状況は太陽表面にある「黒点数」で決まり、その増減が約11年周期で起きていることが知られています。今回は、観測が始まってから24回目の周期であることから「サイクル24」として、その動向に注目が集まっていました。前回の「サイクル23」は2001年頃に「極大」(活動が最大値に達する)がありました。その後、太陽活動は低下して現在に至っています。

こうした「極大」期には、太陽表面に爆発が起きて盛んに炎が上がり、太陽の表面から高温のガス(プラズマ、CME)が宇宙空間へと放出されます。また、このように発生した高温のプラズマが地球にやってくると、地球の磁力線を圧縮して衝撃波を生じ「磁気嵐」を起こします。さらに、地球の大気上空にある「電離層」にも影響を与え、電波を反射させる機能が変化します。
つまり、太陽活動が盛んになると地球上空の電離層が分厚くなり、ハムの使用する短波帯の周波数で、地球の裏側の地域にいるハム達と通信できるようになるのです。
特に太陽活動が盛んになると、電離層でもEスポットと呼ばれる低空で濃密な電離層が出現するので、短波帯よりも高い周波数の電波を使用して遠隔地と通信ができることがあります。ハム(アマチュア無線家)は短波帯の周波数で無線通信をしていると、上記のような理由から電離層での電波の反射状態を知ることができるため、間接的に太陽活動の状況を知ることができるのです。

今回の「サイクル24」は11年周期から計算して、2012年頃に「極大」があるはずです。しかし現時点では、あと二年で極大を迎えるとは思えないほど、電離層の状況は上がっていないのです。そのため「サイクル24」は無いのではないかという疑問を抱くハムもいるほどです。
はたして実状はどうなのか、・・・・2012年まで待ち、電離層の状況を無線機を使用して調べ続けるしかないようです。
過去、17世紀ころには「マウンダー極小期」という太陽に黒点がほとんど見られない時期がありました。この時期は、世界的に寒冷化した時期でもありましたので、黒点数がこのまま減少すれば寒冷期に入るという可能性も考えられます。しかし、黒点数と気候の関係はまだ証明されていないので、確実にそうなるとは言えないのです。この時、英国のテムズ川が凍り付き、そこでスケートができたのだそうです。
地球温暖化が叫ばれている現在、このように未来の寒冷化が予測されるようならば朗報と言えるのかもしれません。
植木淳一

●アマチュア無線と太陽の科学
http://www.geocities.jp/sakuha7jp/mus/solarcycle24.html
●電離層
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E9%9B%A2%E5%B1%A4
●JF1DIRの業務日誌
http://d.hatena.ne.jp/WideR/20090403

Unknown さんのコメント...

太陽活動は相変わらず低調なようですが、それでも一応、ピークに達したようにも思えます。
こうした太陽活動の変化に対して、昨年のあるNHKのテレビ番組では、太陽周期が変わったのではないか、という仮説を東京大学の研究から紹介していました。

その仮説によると、過去には太陽周期が11年で推移していたものが、何らかの理由で長くなり、12年周期になったというものです。だから、今だに極大機を迎えずに低いままだというわけです。

しかし、もしも太陽周期が12年の周期に変化したとすると、その後には『マウンダー極小期』のような寒冷の時代が起きるというのです。それは、彼らの研究から分かったことのようです。彼らの研究では、過去にもマウンダー極小期の前とかシューペラー極小期の前などで、太陽周期が11年から12年へと長くなった事が分かってるというのです。

その事の真偽は、もうしばらく(2-3年?)したら分かると思われます。

●太陽活動、次のピークは2013年5月?
http://www.astroarts.co.jp/news/2009/06/18solar_cycle/index-j.shtml

⚫肉眼で見える巨大な二つの黒点が出現
http://www.astroarts.co.jp/news/2003/10/27nao679/index-j.shtml