2011年6月11日土曜日

●映画「もしドラ」を見てきたよ

先週から「もしドラ」こと、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッガーの『マネジメント』を読んだなら」という映画が封切られ上映されています。主演はAKB48の前田敦子さんでした。また、この映画の主題歌は映画のラストに流れる「エブリデー・カチューシャ」で、やはりAKB48の最新作。若者達の集団であるAKB48も、ついに映画にまで躍進した感があります。
「カチューシャ」はロシアの文豪トルストイの小説「復活」に出てくる女主人公の名前であり、また大正時代に演じられた同演劇で、松井須磨子が付けた髪飾りのヘアーバンドの名前でもあります。様々な連想が沸いてきます。

ところで、この映画は同名アニメを映画化したものですが、私は残念ながらアニメのほうを読んでいません。だから映画を見ただけの知識しかないのです。かつて、私は経済学の単位を取っていたので、経済学者としてのドラッガー氏の名前は知っていました。しかし、過去に講義を聴いていたのが、あまり印象に残らなかったというか、不勉強だったようで、その内容に関しての記憶がほとんどなかったのです。そうした背景はありましたが、この映画に関して、経済学と高校野球、そしてAKBの組み合わせに興味を持ち見に行きました。

「マネジメント」は「経営」とか「管理」と訳されますが、「マネジャー」が「マネジメントをする人」だとすると、高校野球チームの女子「マネージャー」は当てはまらないのではないかという素朴な疑問がわいてきました。辞書を引いてみると野球のマネージャーは「雑用をする人」という意味が出てきます。そうなると「高校野球の女子マネジャー」は「マネジャー」というより「雑用係」です。これだと意味がわかるのです。もともと野球チームの「監督」がマネジメント(管理・運営・指揮)をする人のはずだから、それを「雑用係」が行うのは大幅な越権行為となるわけです。しかし、アニメとか映画中では、それが面白いのですね。

映画では、病気で入院した女子マネージャーの友人が、彼女の代わりにダメ高校野球チームを盛り立てて、ついには甲子園へと導くサクセス・ストーリーを演じるのですが、その途上でどのように個人が変革を遂げ、その目的に向かって邁進して行くかも興味深いものです。

それを成し遂げられれば、もう、立派な「マネジャー」でしょう。結局、監督まで「マネジメント」されて、動かされてしまうのです。

一般に企業活動は「人、物、金」だといいますが、ドラッガー氏は「もっとも潜在能力が高い資源は人である」と言うように、人を動かすことが大きな転機を生じるきっかけとなるように描かれています。これは、他の多くの「成功哲学」でも取り上げられていることです。

ドラッガー氏によると、会社の目的は「顧客の創造」であり、それを達成する手段として、「マーケッティング」と「イノベーション」があるといいます。「顧客の創造」という事は、自社製品を買ってくれるお客をつくり、増やすことで、それはお客のニーズ(要求)を満足させる事であり、それを満たし続けることで会社経営は成り立ちます。その逆に、自社製品を買ってくれる顧客がいなくなったら会社は潰れてしまいます。

「マーケッティング」は「顧客が何を必要としているのか、買いたいのか」を問うことから始まるといいます。そして、それを満たす商品やサービスを提供することです。また、「イノベーション」とは「新しい価値を創造すること」であり、既存の製品に飽きた顧客に新たな満足を提供することでしょう。現代社会では、車や電気製品などは半年ごとに新しい機能を持つ製品が次々に販売され続けています。携帯電話やテレビなども十年前の製品とは雲泥の差があります。それほどに技術革新の早い市場が電気製品市場なのでしょう。

上記のそれぞれの言葉や概念は、そう簡単には達成できないようにも思われますが、現代の会社群はそうした経済学の概念を、日々実行に移し、各種の製品を販売したりサービスを行い続けているのです。

この映画のいくつかの場面にドラッガー氏の言葉が出てくるのですが、この映画を見た人たちが経済学に興味を持ち、その方面の知識を学んで社会へ貢献するようになることを期待するものです。

植木淳一

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