2011年10月7日金曜日

●光速を超えたニュートリノと、海水と似た特徴をもつ彗星の水

秋も深まり夜から朝にかけて大分冷え込んできました。薄着をして風邪など引かぬようご注意ください。

アップルの創設者のジョブズ氏がなくなりましたね。マッキントッシュは有名ですが、最近ではアイフォーンやアイポッドなど様々な新製品を世に出して、物議をかもしていました。マイクロソフトの創設者のビル・ゲイツ氏も引退していて、かつてのパソコン黎明期の開拓者たちの両巨頭は姿を消してしまいました。誠に一時代の盛衰を感じます。ご冥福をお祈りいたします。

今回は天文と物理関係のニュースを二つ。

●地球の水は宇宙からやってきたのか?
10月6日付けの毎日新聞朝刊では、「水は宇宙から」と題する「ハートレー彗星」に関する話題が一面にありました。
同ニュースによると、ドイツのマックス・プランク研究所と米カリフォルニア工科大学の共同研究で、欧州のハーシェル宇宙望遠鏡で同彗星を観測した結果、この彗星表面に地球の海水と同じ特徴を持つ水があることを突き止めた、という。つまり、海水に含まれる水素と重水素の比率が、ハートレー彗星上の水とほぼ同じだという分析結果が得られた。
しかし、過去に観測された「百武彗星」や「ハレー彗星」等の水は、重水素の比率が地球の海水より倍近く多いという。
もしも、彗星の衝突により地球の水がもたらされたとするなら、ハートレー彗星のタイプが地球に衝突して地球上の水がもたらされたと考えれば良い事になるわけです。

私個人的には、どちらでも同じだと考えます。つまり、地球は微惑星や彗星が集まってできたものだからです。たとえば、地球創生時には、重水が多い水(たかだか海水の二倍)が沢山あったとしても、重水を含んだ水は重いので、長時間かけて下に沈みこみ、地殻の中などに含まれて表面から隠れてしまったのではないでしょうか。そのようにして、重水素の少ない水が地球表面に残った、と考えるのです。

このようにして、地球創生時には、彗星の重水が多い水が混じったとしても、地上の海水に重水が少ない理由が説明できます。

●光速より早いニュートリノを観測
上記新聞の三面にもありますが、日本の名古屋大学などの合同チームが欧州合同原子核研究所(CERN)で素粒子ニュートリノが光速を超えたことを確認したと発表。この実験は、スイスにあるCERNの施設からの陽子ビームを炭素に当ててパイ中間子を発生させ、それが短時間で崩壊してニュートリノを発生させ、730km離れたイタリアの地下研究所(地下1400m)で補足し速度を計測したもの。
同ニュースが本当だとしたらすごいです。過去に、光速以上の速度で動くものは発見されていなかったからです。また、アインシュタインの相対性理論にも一石を投じそうです。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110924-OYT1T00229.htm?from=popin

これに対して、賛否両論があり賑わしいです。
しかし、タイムマシンの話などはまだ先の話で、この実験の真偽を追試実験などで確かめる事が先決でしょう。今後の関連情報の発表を楽しみに待ちましょう。

植木淳一

3 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

■補足>本文関連記事のリンクです。

●超光速ニュートリノ、名大で測定データ説明(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110926-OYT1T00606.htm

●光速を超えるニュートリノ検出
http://d.hatena.ne.jp/rikunora/20111001/p1

●海水と似た特徴をもつ彗星の水
http://www.astroarts.co.jp/news/2011/10/06water/index-j.shtml

●リニア彗星は地球に水をもたらした彗星の生き残り?
http://www.astroarts.co.jp/news/2001/05/21c1999s4/index-j.shtml

超光速ニュートリノが測定誤差によるものだとしても、庶民に夢を与えてくれたニュ-スですね。
一方、地球の水は、やはり彗星によりもたらされた事が確実視されると思います。

植木淳一

Unknown さんのコメント...

●光速を超えるニュートリノに関しての個人的な意見

この実験で、ミューニュートリノが走行した距離は約730kmであるが、光速より60ナノ秒早かったという。そうすると、光が60ナノ秒では、およそ、30(万キロ)×60×(十億分の一)=18(m)だけの距離差が生じるはずである。

現在のGPSシステムで、これだけの距離差を正確に計測できるとは思われるが、しかし730kmの間隔があり、また高低差もある。この距離が本当に誤差20cmで正確に計測できているのかどうかが結論として出てくるのではないかと思われる。

●光の速度との比較

しかし、もうひとつの要素がある。それは、真空中の光の速度のことで、これは通常、約30万キロメートル毎秒(299792458m毎秒)だとされている。もちろんこれは、真空中での光の速度である。

物質中では、通常、この値より小さい値で光が進み、その速度比が(絶対)屈折率と呼ばれる値で表される。つまり、水の屈折率は、1.3334(水温20℃)であると書かれているが、その場合、水の屈折率は(真空中での光速度)÷(水中での光速度)=299792458÷224833101.84=1.3334、という計算となる。だから、水中での光の速度は約22万4833km毎秒という値となる。

さて、ミューニュートリノは地球の地殻部分の岩石中を通過したのだから、本来、この岩石中の「光の速度」と比較しなければならないのではないか、という疑問が起きてくる。しかし、岩石中の光速度などは測定できないが、鉱物中の光速度が約1.48~1.6くらいが多いから、それくらいではないかと推定することができる。

もしこの仮定が正しいとすると、岩石中の光速度は、およそ20万2526km毎秒から18万7370km毎秒の間くらいの速度となる。この仮定から、光の速度との差異を計算すると、実験で検出されたミューニュートリノは岩石中の光速度の1.5倍くらいの速度はあるという計算がなりたつ。

●真空中より早い光の速度がある?

上記の屈折率の計算方法では、真空中の光の速度と同じ速度の媒質では屈折率は1である。
ところで、元素カリウムの屈折率は0.07だという。これに先の屈折率からの光速度の計算式を当てはめてみると、なんと428万2749.4キロメートル毎秒という値がでてくる。この速度は真空中の光の速度の14.286倍である。
また、金、銀、グラファイト、銅、シリコンなどの複屈折を起こす媒質中での、光の速度は、屈折率の計算から求めると、やはり光速を超えるものが存在している。これ以外に、ろうそくの炎などで代表されるプラズマ中での光速度も、真空中の光速度を超える場合がある。

このように、光速度が絶対だという場合に、それは真空中の速度だけでなく、媒質中の光速度を考慮しなければならないケースもあるわけだ。

植木淳一

Unknown さんのコメント...

●屈折率が1を下回る例

屈折率が1を下回る例としては、講談社ブルーバックス「磁気光学の最前線」という書物の中に、フッ化ニッケル・カリウムの屈折率の図が上げられています。複屈折がなくなり、温度300℃を超える辺りから、

屈折率は急に下がって1以下となります。

このように物質の屈折率も、温度とか電磁波の周波数により変わるのが通常のようです。

植木淳一